ホルムズ海峡封鎖とアコギ生活の影響

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2026年3月よりホルムズ海峡が事実上封鎖され、
歴史上はじめての原油輸入が著しく激減するという状況となりました。

本ブログと関係無い話と思いきや、
この原油輸入ができないことでの影響はわれわれの音楽生活に著しい、
想像のつかないレベルの影響が懸念されるようです。

電気を使わないアコギですらいくつか心配なことや、
できる対策のまとめをお伝えします。

ホルムズ海峡封鎖とアコギ、消耗品類への影響

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Robert BalogによるPixabayからの画像

既に物価高と言われて久しい状況ですが、
原油高騰時期は一般的に20〜30%の物価上昇が懸念されるというそうです。

例えば現代社会科目や近現代史で勉強した石油危機(オイルショック)のときは、
第一次でおよそ23%値上がりがあったそうです。
今でこそガソリン価格が少し落ち着きを見せていますが、
諸外国の価格の推移からも伺えるように、確実に上がっていってしまうのではないでしょうか。

アコギ、エレアコ、ギター本体への影響

Pierre PrégardienによるPixabayからの画像

言うまでも無くマーチン(Martin)やギブソン(Gibson)、
テイラー(Taylor)などのアコギ・エレアコのハイエンドモデルは、
アメリカのメーカーばかりです。
輸送コスト高騰が確定した現在、明らかに価格は上がっていくでしょう。

国内主要メーカー、ヤマハ(Yamaha)やタカミネ(Takamine)、
ヤイリ(K.Yairi)やモーリス(Morris)であっても、ここ数年の木材の高騰に加えて、
やはり部材などの輸送コストがかかってしまいます。

これもどうしても上がってしまうことでしょう。
改めて今手元にある一本をしっかりメンテナンスして、
大事に使うことが大切になってくるのではないでしょうか。

ギター弦、ギターピックなど消耗品類への影響

アコギプレイで欠かせない消耗品類はどうでしょうか?
アコギ弦とピック類の影響を考えてみましょう。

アコギ、ギター弦への影響

アコギエリクサーナノウェブフォスファーブロンズ

アコギ弦というかギター弦はグローバル経済となった現在にあっても、
「Made in USA」が未だに圧倒的に強いという製造業では非常に珍しい分野です。

我々ギタリストがお世話になっているたくさんのメーカーさんたち、
「ダダリオ(D'Addario)」も「エリクサー(Elixir/Gore)」も、
「アーニーボール(Ernie Ball)」のいずれも、生産拠点を米国内に置き続けています。

メーカー名製造拠点その他の情報
ダダリオ(D'Addario)アメリカ合衆国ニューヨーク州 ファーミングデール90%以上の製品を自社国内工場で製造
エリクサー(Elixir)アメリカ合衆国メリーランド州 エルクトン親会社のW.L. Gore & Associatesの施設で製造
アーニーボール(Ernie Ball)アメリカ合衆国カリフォルニア州インディオ「Slinky」シリーズなど、ほぼ全てが米国製

弦の製造は、髪の毛ほどの細いワイヤーに別のワイヤーを、
均一なテンションで巻き付けるという非常に精密な工程を経ています。

ダダリオなどの大手は、製造マシンそのものを自社で設計・製作しています。
工場の映像を見るとわかりますが、
驚くほど少人数のオペレーターで膨大な数の弦を生産しており、
人件費がコストに占める割合が非常に低くなっています。

そのため、わざわざ人件費の安い国へ移転するメリットが薄いようです。

また弦の品質を左右するのは、芯線となる鋼鉄(ハイカーボンスチール)の質です。
アメリカには高品質な金属加工の歴史があり、ハイレベルなワイヤー供給元が国内に揃っています。
例えばダダリオでは工場のすぐ近くに、独自のワイヤー引き抜き工場(Wire Mill)を設立し、
原料レベルから垂直統合で管理しています。

また人によっては一番お世話になる弦であろうエリクサーに代表される「コーティング弦」は、
化学メーカーであるゴア社(Gore)の特許技術の塊です。
化学プロセスや精密なコーティング技術を外部に漏らさない秘匿性と、
常に最新のR&D(研究開発)と現場を直結させるために、
本社近郊に工場を置くことが重要視されています。

いずれにしても主要メーカーがすべてアメリカ内製のため、
原油価格の高騰と円安影響は少なからず発生しえると考えられます。
備蓄する量を確保しつつのローリングストックが効果的かもしれません。
これがどう価格が変わるかまた後日振り返りたいと思います。

ギターピックへの影響

ヤマハ(YAMAHA)のフィンガーピックセット

ギターピックの原材料はまさに原油由来のナフサから製造されています。
ナフサというとギターの清掃のイメージですが、
合成樹脂(プラスチック)の原料でナイロンもデルリンもウルテムも全てこちらに由来します。


そして主要なギター弦同様、主要なギターピックも、
製造業にあって非常にめずらしく米国内製造がメインとなっています。

メーカー名製造拠点その他の情報
ダダリオ(D'Addario)アメリカ合衆国ニューヨーク州ファーミングデール自社工場で製造。
ジムダンロップ(Jim Dunlop)アメリカ合衆国カリフォルニア州ベニシアTortexなどピックの多くを自社製造。
クレイトン(Clayton)アメリカ合衆国オレゴン州タレントウルテムピックで有名

ダンロップ(Jim Dunlop)、ダダリオ(D'Addario)、
アーニーボール(Ernie Ball)などの主要メーカーは、
ピックの製造拠点をアメリカ国内に置いています。

弦と同じく、ここには明確な工業的・経済的な理由があります。
超高効率な大量生産プロセスピックの製造方法は、主に以下の2つです。

製法名製造工程ピック材質、キャラクターなど
打ち抜き(スタンピング)大きな樹脂のシートから、クッキーの型抜きのようにガシャンガシャンと連続して打ち抜く方法。セルロイド、デルリンなど。
より薄く、安価なものが多い。
射出成型(インジェクション)溶かした樹脂を精密な金型に高圧で流し込む方法ナイロン、デルリン、ポリカーボネートなど。
滑り止めや立体造形など、より機能的なものが多い反面、高価なものも。


どちらの製法も極めて自動化が進んでおり、
1分間に数百枚〜数千枚という猛烈なスピードで生産されます。

弦と同様に人が関わるのは機械のメンテナンスや検品、パッケージング程度のため、
人件費の安い国へ工場を移すメリットがほとんど無いようです。

またピックは当然ながら物として非常に小さく、
アメリカで大量生産して世界中へ輸出しても輸送コストが販売価格を圧迫しません。

わざわざ海外に精密な金型を送り、品質管理のリスクを負うよりも、
自国の拠点で一括生産する方が合理的で安上がりであることが理由のようです。

ナフサ由来のギターピック素材の違い

ナイロン、デルリン、ウルテムなどは、すべて源流を辿れば原油(ナフサ)や、
天然ガスに行き着く合成樹脂(プラスチック)です。
素材によって下記のような製造経緯と音色の違いがあります。

材質名製造経緯キャラクター
ナイロン (Nylon)アメリカのデュポン社が開発した世界初の合成繊維・樹脂柔らかく軽やか
デルリン (Delrin)デュポン社の登録商標で、一般名は「ポリアセタール(POM)」。摩擦に強く削れにくい特性あり芯が太い
ウルテム (Ultem)SABIC社(元GEプラスチックス)が開発した
「スーパーエンジニアリングプラスチック」。非常に耐熱性・強度が要求される航空機部品などにも使われる高級樹脂
極めてクリア。最も人の爪に近い
トーテックス (Tortex)ダンロップの代名詞的素材。デルリン素材の表面に特殊処理加工した素材。アタック感が強い
セルロイド(Celluloid)厳密には植物由来の半合成樹脂。最古のプラスチック。バランス良し。大昔からの定番

弦同様、いずれにしても主要メーカーがすべてアメリカ内製のため、
原油価格の高騰と円安影響は少なからず発生しえると考えられます。

弦と合わせて備蓄する量を確保しつつのローリングストックが効果的かもしれません。
併せて価格がどう変わるかまた後日振り返りたいと思います。

計画停電や災害への備え ポータブル電源でできることまとめ

ポータブル電源とギターワイヤレス

今後仮に原油の輸入計画が例年通りに運ばなくなった場合、
計画停電の可能性は無いとは言えない状況と思われます。

少し前までキャンプなどで重宝したポータブル電源ですが、もちろん災害時などにも活躍してくれます。
エネルギー制約の懸念が考えられる限り、1台は確保しておいても損はないかもしれません。

われわれアコギギタリストは電気を使わなくても演奏OKではありますが、
アンプやエフェクター類を使った場合の電力がどの程度のものかおさらいしておきましょう。

※エフェクターは「W(ワット)」ではなく、
「mA(ミリアンペア)」で表記されることが多いです(電力 P = V × I(A))
※ミリアンペア=0.001アンペア

使用機材消費電力備考
デスクトップアンプ約10W 〜 30W最大出力30~40Wでも家庭利用で最大となることは稀
コンパクトエフェクター(歪み系)約0.05W 〜 0.1W(ほぼゼロに等しい)メイン、ブースターを挟んでもほぼ心配無し
コンパクトエフェクター(空間系)約1W 〜 5W歪みよりデジタル系(空間系・ルーパー)の方が消費電力が大きい
マルチエフェクター約10W~20W多機能のため消費電力大きい


一般的なポータブル電源の容量を 1000Wh(1kWh)とした場合、
ロス(変換効率 約80%)を考慮して計算します。

計算式: 1000Wh×0.8÷機器の消費電力(W)=稼働時間
セット例:アンプ(20W) + ペダル数個(5W) = 合計25W の場合


1000Whのポータブル電源の場合で: 約 32時間
2000Whのポータブル電源の場合で: 約 64時間

おわりに 今ある機材や消耗品を大切に


今回このままホルムズ海峡実質封鎖が長期化してしまったときに一番怖いこととして、
今までのような物の再調達が容易だった頃とは違う暮らしになってしまわないかということと思います。

今あるお気に入りの一本や機材をより大切に使うチャンスとなるかもしれません。
(逆に考えると手放す予定の楽器や機材に関しては、より価格が上がる可能性もありますね)

落ち着いて情報と状況を整理して、
そのなかでも楽しめることを見つけて自分の音を大切にしていきましょう。
何よりも早く平和になることを願います。

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